羊肉の輸入量が過去最多を更新
牛・豚・鶏に次ぐ「第4の肉」として、いまラム肉が注目されている。2024年の羊肉輸入量は約1万6150トンと過去10年で最多を記録し、そのほとんどをオーストラリア産が占める。都内でジンギスカン専門店を展開するチェーンが首都圏で店舗数を大きく伸ばし、今後は全国規模での出店計画も掲げているというから、もはや北海道の郷土料理という位置づけを超えつつある。
「臭い肉」から「気軽な肉」への転換
ジンギスカンが敬遠されてきた最大の理由は、羊特有の脂に含まれるラノリンや不飽和脂肪酸による独特の香りだった。特に成長した羊(マトン)は臭みが強くなりやすい一方、生後1年未満の若いラム肉はもともとクセが少ない。加えて近年は冷凍ではなく冷蔵のまま流通させる「生ラム」の仕入れが広がったことで、鮮度による臭み自体もかなり軽減されてきている。東大和市の「羊スケ 信州の恵み ジンギスカン」が打ち出す新鮮生ラムも、まさにこの流れに乗った一軒だ。
価格上昇でも選ばれる理由
一方でラム肉の国内流通価格はこの20年で3倍以上に上昇したとの報道もある。それでも選ばれ続けているのは、和牛や豚肉の値上がりが続く中で、ラム肉が相対的にコストパフォーマンスの良い選択肢として位置づけられているためだ。加えて、健康志向の高まりも追い風になっている。
健康面で語られる4つの理由
ラム肉は脂肪をエネルギーに変える働きを持つアミノ酸「L-カルニチン」を豊富に含み、含有量は牛肉の約2〜3倍、豚肉の約7〜9倍とされる。また羊肉の脂の融点は約44度と、牛や豚の脂より高い。体温より高い温度でないと溶けないため、体内で吸収されにくく排出されやすいという特徴がある。さらに鉄分は鶏肉の約4〜7倍、ビタミンB12やB2も豊富で、貧血予防や疲労回復、肌のターンオーバーを助ける食材として紹介されることが多い。中央が盛り上がった専用のジンギスカン鍋も、焼く過程で余分な脂を落とす仕組みになっており、調理法自体がヘルシーさを後押ししている。
客層も変化している
かつてのジンギスカンは、北海道旅行で食べる観光グルメ、あるいは男性中心の宴会料理というイメージが強かった。しかし近年は、写真映えする見た目やヘルシーさから、都心部の店舗で女性客や若い世代の来店が増えているという。部位も肩ロースやもも、ショルダーなど多様化し、タレもスパイスやハーブを使った進化系が登場するなど、料理としての幅も広がっている。
東大和という郊外にも波が到達
こうした全国的なブームの中、東大和市駅近くにも生ラム専門店「羊スケ」が誕生した。信州伊那谷から届く高原野菜とセットで提供されるスタイルは、単なるトレンド追従ではなく、産地とのつながりを軸にした独自路線と言える。都心のチェーン展開だけでなく、こうした郊外の個人店にもジンギスカンブームが波及している事実は、このトレンドが一時的な流行にとどまらず、日常の選択肢として根付きつつあることを示しているのかもしれない。
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